前回の記事では、「二十四節気」や「七十二候」とは何かといった基礎的なお話に加え、立春(2/4~2/18頃)の季節についてご紹介しました。
気になる方はこちらの記事をご覧ください。
今回はその続き、「雨水(うすい)」という季節についてのお話をしていきます。
この季節にふさわしい神様のお話や開運アクションも書いていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
雨水とは
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雨水は、二十四節気において、立春の次にやってくる季節を指します。
具体的には2月19日~3月4日頃までとなり、空から降ってくるものが雪から雨へと変わる頃のこと。
雨が降ると気分が落ちこんだり、体調を崩したりする方もいますが、「雪ではなく雨が降る」という表現のなかに、春の兆しを感じさせます。
まだまだ大雪が降ることもありますが、三寒四温を繰り返しながら春に向かう季節です。
春一番が吹いたり、山の雪が溶けたりしはじめるのも「雨水」の頃からでしょう。
雨水の三候
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それでは、そんな「雨水」の季節に含まれる3つの候を紹介しましょう。
末候は2月29日からと、うるう日を含んだ表記にしています。
初候:土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
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2月19日~2月23日頃の候です。
冷たい雪ではなく、温かな雨が降り、凍てついた大地を溶かしていきます。
しっとりと潤った土は匂い立ち、植物が芽吹き、動物も眠りから覚めてきました。
ふきのとうやタラの芽など、山菜も少しずつ出始める季節です。
また、中国古来の七十二候では、雨水の初候は「獺魚祭(かわうそうおをまつる)」と言っていたそう。
実際に獺(かわうそ)が魚を食べる前に、お供えもののように岸に並べてから食べたことに由来するそうですが、七十二候にはこんなふうに、少し不思議なものもあるのが興味深いところですね。
次候:霞始靆(かすみはじめてたなびく)
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2月24日~2月28日頃の候です。
昼夜の寒暖差が激しいこの季節には、遠くの景色がかすんで見えたり、雲の層が幾重にも薄く漂ったりすることがあり、これを「霞」「春霞」などと呼んでいます。
この現象は春だけでなく秋にも起こりますが、春には「霞」、秋には「霧」と呼び名を変えることも。
霞はたなびきますが、霧は立ちのぼると表現したり、夜になると「朧(おぼろ)」と呼んだり、日本語は本当に趣を大切にする言語ですね。
その細かな表現の違いをぜひ、日常の中で感じ、取り入れてみてください。
末候:草木萌動(そうもくめばえいずる)
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2月29日~3月4日頃の候です。
2月のことを木の芽月なんて呼ぶこともありますが、いよいよ3月に突入し、春を感じさせるやわらかい陽光が降り注ぎ、萌黄色の草の芽、木の芽が一斉に芽吹いてきます。
冬の間に蓄えられた生命の息吹、エネルギーの表出を感じるでしょう。
少し散歩をするだけでも道ばたの草や木に命を感じる、そんな季節になってきています。
3月3日の桃の節句も、一つの節目になりますので、家でひな人形を飾ったり、神社に参詣し、邪気を祓ったりするのにも良い日ですよ。
季節の神様:佐保姫
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春という季節は東の方角からやってくる。
古来そんなふうに言われており、前回の記事で取りあげた立春の初候では、「東風」と書いて「はるかぜ」と読ませています。
都が奈良にあった頃、平城京の東には「佐保山」という山があり、そこにお祀りされているのが佐保姫という神様でした。
染めものや機織りの得意なこの神様は、春の女神と呼ばれ、佐保山の春霞は、この神様が織った薄衣とも、神様の纏う衣服であるともいわれています。
白くやわらかい春霞を身に纏った女神様なんて、とても素敵な神様ですね。
温暖な空気や風、日差しを感じた時には、春を告げる佐保姫に感謝し、手を合わせてみてはいかがでしょうか。
季節の開運アクション:お伊勢参り
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江戸期に盛んになったお伊勢参りは、一生に一度は行っておきたい、庶民の夢でした。
交通機関もない時代のことですから、気候の良い季節を選んでの参詣が多く、この季節はおすすめの時期の一つです。
これまで一度もお伊勢さんに訪れたことのない方は、ぜひこの機会に計画を立ててみるのも良いでしょう。
現代では年度の変わり目が近く、卒入学や転勤、異動などで忙しい時期でもありますが、生活の節目となる季節ですから、あえて選んで行くのもありでしょう。
お伊勢さんまで行けない方は、近くの神社や気になっている神様を訪れるだけでも十分な開運アクションです。
悩みや目標がある方は、じっくり神様とお話をしてみてください。
「○○してください」というお願い形式ではなく、「○○するために見守っていてください」とか、「○○をやります!」という宣言形式がおすすめ。
もしも願いが叶った時には、お礼参りも忘れずに行くようにしましょう!
まとめ
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今回は二十四節気の雨水にあたる3つの候をご紹介しました。
立春よりも春めいた空気が漂うだけでなく、動物のうごめき、植物の芽吹きといった目に見える「春」を感じる日々がやってきます。
暖かな日には散歩やお出かけをして、体中に季節の移ろい、太陽の光の温度を感じてみてください。
冬の神様から春の神様にバトンタッチする瞬間が、日常のそこここに潜んでいます。
小さな春の音に耳を澄ませれば、暮らしのなかにたくさんの驚きや安らぎがあることに気付くことができるでしょう。