暦に沿う暮らし③啓蟄

暦に沿う暮らし③啓蟄

「啓蟄(けいちつ)」は、「二十四節気」と呼ばれる、季節を指し示す言葉です。

この記事では「啓蟄」を「七十二候」に従い3つに分け、日々のきめ細やかな季節の移ろいをご紹介します。

「二十四節気」や「七十二候」についてはこちらの記事をご覧ください。

また、季節のお話や神話も紹介していますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

啓蟄とは

暦に沿う暮らし③啓蟄

出典:photoAC

啓蟄は、二十四節気において、雨水(うすい)の次にやってくる季節を指します。

期間としては3月5日~3月19日頃まで。

前回の記事でご紹介した雨水では、土が動き、柔らかい春の新芽が芽吹き始めていましたが、啓蟄の「啓」にはひらく、「蟄」には冬の間、土の中に閉じこもっていたヘビやカエルなどの虫たちという意味があります。

多くの生き物たちが、寝床となっていた土にたくさん穴を開けて、そろそろ春がやってきたか?と様子を見ている。そんなイメージがわいてきます。

春の訪れを喜んでいるのは、人も、草木も、生き物も、同じかもしれませんね。

啓蟄の三候

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「啓蟄」の季節に含まれる3つの候を紹介しましょう。

それぞれの候は5日程と短く、変わり続ける四季の中の一瞬を丁寧に捉えています。

初候:蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)

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3月5日~3月9日頃の候です。

いわゆる虫(昆虫)のみならず、様々な生物が冬の眠りから目覚め、動き出す頃となりました。

一雨ごとに暖かさが増してゆき、山菜など、春ならではの草がどんどん吹きこぼれてきます。

春の山菜に含まれる苦みは、冬の間に溜まった毒を排出してくれると言われます。

おひたしや天ぷら、和え物など、旬の食材をいただきながら、季節の移ろいを舌で感じ取るのも良いですね。

次候:桃始笑(ももはじめてさく)

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3月10日~3月14日頃の候です。

昔は花が咲くことを「笑う」と表現しました。

昨日まで蕾だった花が、ぱっと咲く。

そんな瞬間を「笑う」と言った先人の、自然に対する慈しみの心を感じます。

桃の節句(3月3日)頃には、まだ桃は咲いていないの?と思うかもしれませんが、旧暦の3月3日は、現在の4月初旬頃になります。

梅に続いて咲き始めた桃が、ちょうど満開を迎えるのが旧暦の桃の節句の頃にあたります。

末候:菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

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3月15日~3月19日頃の候です。

サナギの姿でじっと寒さをこらえていた蝶が、とうとう羽化する季節です。

菜花が咲いて、蝶が舞う。

暖かい地域を中心に、春を象徴するような光景が広がりはじめます。

太陽の光はまだ柔らかいですが、徐々に昼と夜の長さが同じくらいになってきて、次の二十四節気である「春分」へと季節のバトンが渡されていきます。

ひらひらと美しく舞う蝶がモチーフとなったお話を次に紹介しましょう。

季節のお話:胡蝶の夢

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荘子という中国の思想家は、ある夢を見ました。

それは、自分が蝶となった夢です。

ですが彼は、「自分が蝶になったのか、もともと蝶である自分が人間になっている夢を見ていただけなのか分からない」と感じました。

この説話から、蝶は「夢虫」や「夢見鳥」と呼ばれています。

現実と夢の区別が付かなくなったり、自分と自分以外との境界が曖昧になる瞬間を、感じたことのある方もいるでしょう。

蝶という生き物は、そんな曖昧で儚い側面を持つ私たちの存在をも連想させる、幻想的な印象を持っているのではないでしょうか。

今年は蝶を見ながら、自分とは何か、生命とは何か、なんていう、哲学的な問いかけをしてみると、思いがけない気付きが得られるかもしれません。

季節の神話:魔除けの果実

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皆さんもよく知っている昔話に「桃太郎」というものがあります。

小さい頃に聞いて、「そういうもの」だと受け流している方も多いですが、なぜ「桃」太郎なのでしょうか。

諸説ありますが、日本の神話にも「桃」という果物は登場しています。

火の神さまを生んだときのやけどが原因で死んでしまった妻・イザナミを取り戻すため、夫・イザナギは黄泉の国へと訪れます。

しかし、腐敗の進んだ妻の姿にイザナギはおののいてしまいました。

イザナミは恥をかかされたと怒り、鬼女・ヨモツシコメを使わします。

この世へと逃げ帰る途中、イザナギは桃の木からいくつかの実をもぎとり、投げつけました。

すると、ヨモツシコメはそれ以上、イザナギに近寄ることができなかったのです。

このように、桃には魔除けや邪気を祓う力があると考えられています。

鬼を退治するのが「桃」太郎だったことも、決して無関係ではないでしょう。

生の桃が手に入るのはもう少し先ですが、ジャムやゼリー、お酒などで、桃の魔除け効果を取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

暦に沿う暮らし③啓蟄

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今回は二十四節気の啓蟄にあたる3つの候をご紹介しました。

春と虫を合わせると、「蠢(うごめく)」という漢字になりますが、まさにこの季節は、土の中から生命が動き出す頃です。

梅や桃、菜花といった花が咲きはじめ、蝶が舞う。

一雨降るごとにぽかぽかと暖かい陽気の日も増えて、過ごしやすい気候になってきました。

朝晩にはまだ冷たい風の吹く日もありますので、ストールなど、重ね着できるものを一枚プラスで持っておくと安心です。

年度末の忙しい時期ではありますが、時おり、虫や花々の笑い声に耳を傾けてみれば、ほっと心が落ち着いてきそうです。

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煉桜先生

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