春が終わりを告げ、梅雨が過ぎ去り、ようやく夏本番というこの頃。
暦の上ではもうすでに、秋の足音が近付いてきています。
今回は、「大暑(たいしょ)」の二十四節気に含まれる三つの七十二候について、また、季節の薬膳、季節のお話についてもまとめました。
大暑とは
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大暑とは、一年のうちでもっとも暑い、真夏の頃を表します。
期間としては7月22日~8月6日頃。
大暑の後にはもう、秋の訪れを示す「立秋」の二十四節気が控えており、夏の盛りであるとともに、夏の最後の二十四節気でもあるのが「大暑」という季節です。
各地でお祭りや花火大会が行われるなど、夏の行事も盛んな大暑。
先人たちはどのように過ごしていたのでしょうか。
大暑の三候
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それでは早速、大暑の三候を紹介します。
暦を知ることで、これまで見えていなかった、自然の美しさや移ろいに気付く目を養うことができるでしょう。
初候:桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)
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7月22日~7月26日頃の候です。
桐の花ってどんな花?と思う方も多いかもしれませんが、実は日本人は、四季に関わりなく、桐の花をよく目にしています。
それは500円玉の表の図案に使われているからです。
お財布に500円玉が入っている方は、ぜひ確認してみてくださいね。
この候では「花を結ぶ」とあり、「開く」「咲く」という表現はしていません。
ベル型の、紫色の桐の花が咲くのは5月頃。
7月下旬頃になると、その後に卵形で茶色い実がつくのですが、このことを、「花を結ぶ」と表現しています。
昔は家に女の子が生まれると桐の木を植え、その子がお嫁に行く頃になると伐り、桐箪笥や長持として持たせたのだとか。
いかに生活に密接な木であったかが伺えますね。
次候:土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
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7月27日~8月1日頃の候です。
じっとりとまとわりつくように蒸し暑い頃を差し、日本人には馴染み深い、夏らしさを表す七十二候です。
「溽暑(じょくしょ)」というのは晩夏の季語。
打ち水、夕涼み、怪談など、先人たちもいかにして涼を取るか苦心してきたのでしょう。
一方で、草いきれ、土いきれといった、暑さそのものを指し示す言葉も多くあり、その季節を精一杯感じ取り、生きてきたのが日本人なのだろうと思われます。
ちょうど、土用の丑の日もこの頃ですので、暑気払いにうなぎを食べて精を付けるのもいいかもしれません。
末候:大雨時行(たいうときどきふる)
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8月2日~8月6日頃の候です。
入道雲が立ち上り、夕立となって降る。
昔はそんな夏の様子が当たり前でした。
昨今ではゲリラ豪雨や線状降水帯といった、より激しいスコールのような降り方をする雨が、より早い時期から日本各地に被害をもたらしています。
ITの発展が、治水など、インフラを強化するものに繋がればと、水害のニュースを見るたびに考えさせられますね。
先人たちが残してくれた暦という知恵を学んでいくことは、自然との付き合い方をも教えてくれるのかもしれません。
季節の薬膳
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大暑の頃に深刻になりやすいのが、いわゆる「夏バテ」。
暑気と湿気により、食欲不振、睡眠不足、体力の落ち込みなど、不定愁訴に悩まされる人はとても多いです。
屋外の暑さと屋内の涼しさの寒暖差によって、自律神経が乱れてしまう人も多いでしょう。
胃腸が弱りやすい方には、トウモロコシがおすすめ。
炊飯器で構いませんので、お米と一緒に炊いて食べましょう。
芯からもうまみが出るので、一緒に入れて、炊き上がったら取り出すようにしましょう。
火照りやイライラ感が強い方、むくみが気になる方には、ウリ科の食べ物がおすすめ。
きゅうり、冬瓜、ズッキーニなどは、水分代謝を促し、熱を取り去ってくれます。
冷え性も気になるという場合は、これらの食材を生ではなく、火を通して食べることで、体を冷やしすぎずに済みますよ。
季節のお話
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夏にぜひ着てほしいのが「浴衣」。
着物よりも気軽に着られるイメージのある浴衣ですが、その原型とされているのは、平安時代の貴族が蒸し風呂に入る時に着用していた、「湯帷子(ゆかたびら)」という専用の衣服です。
江戸時代頃には現在のように庶民の衣服として広く好まれ、次第に寝間着としても着られるようになっていきました。
現代では華やかな色柄付きのものも増え、お祭りなどに出かける際のおしゃれ着というイメージが強いですが、もっと気軽に、部屋着などとして、くつろいだ印象で着てみてはいかがでしょうか。
最近では洗濯機で簡単に洗いやすい素材のものや、帯結びが簡略化されている作り帯、より簡単に着られるセパレートタイプのものなども増えてきました。
「こうでなければ」という型を重んじることも大切ですが、それゆえに取っつきにくく感じてしまうよりは、好きな洋服を選ぶのと同じ感覚で、お気に入りの一着を見つけてみてください。
まとめ
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今回は二十四節気の大暑にあたる3つの候をご紹介しました。
まめに水分補給をしたり、涼しい楽な格好で過ごすようにしたりと、工夫しながら厳しい暑さをしのぎましょう。
暑さにバテて嫌になる方もいるかもしれませんが、過ぎ去ると少し寂しさを覚えることも多いのが夏。
「夏だからこそできること」に目を向けてみると、自然をうまく楽しみながら、日々を過ごしていけるのではないでしょうか。