毎年4月8日は『花祭り』です。
今回は、花祭りはどのようにお祝いするか、日本の花祭りの歴史といった知識とともに、花祭りにまつわるおまじないや、花祭りにオススメの3つの過ごし方をまとめました。
花祭りとは?
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仏教の開祖であるお釈迦様は、今から2000年以上前の4月8日、ルンビニー園という花園でお生まれになりました。
そのため、仏教では毎年4月8日に「花祭り」としてお祝いをしています。
日本では馴染みのない文化ですが、基本的に「祭り」を行わない仏教で唯一といってよいこの「花祭り」は、宗派を問わずお祝いされています。
「灌仏会(かんぶつえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」「降誕会(ごうたんえ)」など、様々な呼び方があります。
お釈迦様に甘茶をかける
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花祭りでは、お釈迦様の像に甘茶をかける習わしがあります。
これは、お釈迦様が誕生したとき、九頭龍が天より注いだ甘露を産湯にしたからだとか、香水で身体を洗ったからだという説によるものです。
また、この日お祀りされる釈迦像は誕生仏と呼ばれ、花御堂というお花で飾り立てた小さなお堂に鎮座されています。
花御堂の中には「灌仏桶」と呼ばれる甘茶の入った器があります。
その中心に安置されている誕生仏に、柄杓で掬った甘茶をかけて、お釈迦様の誕生をお祝いします。
天上天下唯我独尊
誕生仏は右手を天に、左手を地に向けておられます。
お生まれになったとき、甘露を浴びたお釈迦様は、その後すぐに七歩歩かれ、「天上天下唯我独尊」と仰ったといいます。
直訳すれば「天地万物の中で私が唯一尊い者である」という意味になりますが、この尊き者であるお釈迦様の役割は、人間を苦しみから救うこと。
つまり本当に言いたいことは、「人間一人ひとりが、皆等しく尊い」ということなのではないかと解釈する説もあります。
甘茶のおまじない
大きな寺院では、灌仏会の参詣者に甘茶を振る舞うところもあります。
この甘茶をつけて赤ちゃんの頭を撫でると丈夫に育つとか、甘茶で墨を擦って手習いをすると字が上達すると言われています。
また、この甘茶を家の周りに撒いたり、甘茶で墨を擦り、「茶」と書いて逆さに貼っておくと虫除けになるといわれ、「ウヅキヨウカは吉日でオナガムシの成敗をする」「千早振る卯月八日は吉日よ神下げ虫を成敗ぞする」などと書くパターンなどもあるようです。
日本の花祭りの歴史
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日本で初めて花祭りが行われたのは、推古天皇の御代、606年4月8日と考えられています。
聖徳太子が活躍した頃で、同じ年に盂蘭盆会(お盆)も初めて行われたということからも、奈良時代には仏教文化が広く伝わり、定着していったのではないでしょうか。
その後、平安時代の840年4月8日には「灌仏会」の名で花祭りが行われ、江戸時代中期頃には現在のような形に定まってきました。
「花祭り」の名で知られるようになったのは明治時代頃で、浄土宗から始まり、その後、宗派問わず「花祭り」の名が一般化されていったと考えられます。
花祭りの3つの過ごし方
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仏教徒であるなしに関わらず、人間の苦しみを救うために生まれてきたお釈迦様の誕生日をお祝いするというのは、人間として尊い営みであるように思います。
それでは、実際に花祭りにはどのような過ごし方をするとよいか、オススメの3つの過ごし方をご紹介します。
?お寺に参詣する
先述のとおり、お寺によっては灌仏会や花祭りの名称でお祭りを行うところがあります。
ご自身が檀家の寺院でもいいでしょうし、大きなお寺、好きなお寺へ行かれてもいいと思います。
お墓参りを兼ねてという方でしたら、「花祭り」になぞらい、いつもと少しちがったお花を供花されるのもいいのではないでしょうか。
宗派にもよるかもしれませんが、春らしい明るい色味のお花や、季節のお花をお供えされると喜ばれるのではないかと思います。
また、甘茶を誕生仏にかける、甘茶をいただくこともぜひ試みてください。
2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で様々な対策があるかもしれません。心配な方は先にお寺さんへ問い合わせするといいですね。
?お花を飾る
お寺へ行くことに高いハードルをお感じになる方や、忙しくて時間がないという方にオススメなのが、お花を飾るということです。
お花を飾ることで部屋が華やかになり、気分が明るくなったり、ネガティブなエネルギーを吸い取ってくれたりもしますが、この日はやはり、お釈迦様とご縁を繋ぐという意味合いを強く感じていただければと思います。
お花を飾り、お釈迦様の誕生を喜び、手を合わせる時間を取ってみてはいかがでしょうか。
また、大切な方にお花を贈るというのもいいですね。
?祈りの時間を作る
お釈迦様の教えには人間の指針となる様々なものがありますが、その基本の考え方は、「人生は思い通りにはならない」「なぜなら、全ては移ろいゆくからである」というものです。
自分の心ですら思い通りにはならないのが人間。
近年では災害や感染症にあえぎ、思い描いていた人生のレールがガタリと外れてしまったと感じる方も多いのではないでしょうか。
それでも私たちは生かし、生かされ、支えあいながら生きています。
お釈迦様の教えを学ぶことも、生きていくうえで支えになったり、救いになったりすることが多々あるかと思いますが、花祭りのこの日、まずは自分が今ここに生きてあるということに、祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。
まとめ
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毎年4月8日は、お釈迦様の誕生日をお祝いする、花祭りの日です。
思い通りにいかない時代だからこそ、お釈迦様にお祈りし、心を整える時間を持ってみてはいかがでしょうか。
未来があなたに向かって開けていくことを、心よりお祈りいたします!