魚座の神話
『魚座』の物語は、ギリシア神話でもっとも美しい女神であるアフロディテと、その息子エロスに由来しています。
よって、まずはこの母子についてご紹介をしておきましょう。
アフロディテはヴィーナスとも呼ばれる愛と美の女神で、美しい女神の象徴ともいうべき存在でした。その血を受け継ぐエロスもまた、愛を司る力を持っていました。
エロスは絵画においても弓と矢を持った姿で描かれることが多いのですが、この弓矢がただの弓矢ではありません。
矢には黄金の矢と鉛(なまり)の矢の二種類があるのですが、黄金の矢に撃たれた者は激しい恋に落ち、鉛の矢で撃たれた者は嫌悪におちいるという、大変な代物だったのです。
イタズラ好きのエロスはいたるところでこれらの矢を放ち、多くの神や人の恋愛を操ってきました。
ところが、この矢によってエロス自身の心がとらわれる事件が起きます。
ある国にプシュケという王女がいました。
プシュケは絶世の美女として知られ、その評判が広まるや、多くの人々が彼女を一目見ようと押しかけるほどになりました。
怒ったのは美の女神であるアフロディテです。
本来は自分の美に向けられるはずの敬意が、人間の小娘に集まってしまっているのですから、面白いはずがありません。
嫉妬にかられたアフロディテは息子のエロスを呼び、その弓矢でプシュケをこらしめるよう命じました。
「お前の弓矢で、あの小娘をもてあそんでおやり。この世で最も醜い男に恋をさせてやるのです」
エロスは母の命により、夜にプシュケの寝室を訪れました。
ところがプシュケの寝顔のあまりの美しさに、エロスはうろたえます。
そうしてうっかり、金の矢で自分を傷つけてしまったのです。
金の矢の力によって、エロスは目の前のプシュケを激しく恋するようになりました。
金の矢の力とプシュケの美貌の前に、エロスはすっかり恥じ入ってしまいます。
プシュケに姿を見せる勇気すら持てなくなったのです。
それでもエロスは、神の力でもってプシュケを壮麗な宮殿に招きました。
なにひとつ不自由のない生活と食事を与えた上で、姿を知られずにすむ夜になると、プシュケの寝所を訪れます。
「私の姿を見てはならない」
エロスは闇の中でこうささやいて、プシュケを愛したのです。
恋を司るエロスの甘いささやきに惹かれ、プシュケは姿が見えない相手の妻となりました。
しかしある晩、どうしても夫の姿をたしかめたく思ったプシュケは、ロウソクを手にしてエロスの寝顔を照らしました。
すると闇の中に、凛々しく美しい神の姿が浮かび上がったのです。
プシュケはその美しさに一瞬で心をとらわれました。
しかしエロスは約束をやぶった妻をなじり、ふたりの愛の巣から飛び去ってしまったのです。
たとえ神と人間であっても、凛々しい夫にふたたび会いたい―――そう願ったプシュケは、なんと自分を目の敵にしていた女神アフロディテを訪れます。
エロスに会うには、もはやこの恐るべき姑(しゅうとめ)にすがるしかなかったのです。
嫉妬に怒るアフロディテは、プシュケに過酷な仕打ちをし、あらゆる無理難題を吹っかけました。
それでも夫への一途な愛に生きるプシュケは、その難題をことごとく乗り越えます。
そうしてついに、愛する夫エロスとの再会を果たすのです。
エロスはプシュケとの結婚を認めてもらうべく、最高神ゼウスに懇願しました。
ゼウスはふたりの仲を認めるよう、女神アフロディテを諭します。
アフロディテもプシュケの情熱にとうとう根負けし、エロスとの結婚を認めたのです。
こうして恋を司る神エロスと、一途な美女プシュケは、ともに神として結ばれることとなったのです。
前置きが長くなりましたが、この女神アフロディテと息子のエロスは、魚座のモデルともなっています。
あるとき神々が集まって、ナイル川のそばで宴会を開き、楽しいひとときをすごしていました。
ところがここへ、怪物たちが襲い掛かってきたのです。
普段の神々であれば堂々と戦うのでしょうが、酒に酔っていてはそうもいきません。
彼らはあわてて逃げ出しました。
最高神ゼウスは鳥に姿を変えて空へと逃げます。
牧神のパーン(山羊座の神)は魚になって川へ逃げ込もうとするも、下半身だけが魚の尾になってしまうという笑い話もありました。
そしてこの宴席には、アフロディテとエロスの母子も顔を出していました。
ふたりはパーンとは違って首尾よく美しい魚に姿を変えて、川へと逃れたといいます。
このときのアフロディテ・エロス母子の魚になった姿が、魚座として夜空に刻されることとなりました。
魚座は、愛を司る神の母子が、仲むつまじく寄りそっている光景を映しているのです。
(ちなみに下半身だけ魚となった牧神パーンは、その姿のまま山羊座となっています)
出典(TOP画像):photoAC
出典(2枚目画像):ashinari.com
魚座の性質
愛を司るアフロディテとエロスに由来するだけあって、魚座には夢見るロマンチストとしての性質があります。
その内面は、他の星座の人にはない甘美な空想と夢で満ちており、魚座のあなたの魅力の核を成しているのです。
対人的には、奉仕の精神を持って行動します。
アフロディテが愛を司り、エロスの矢が恋愛を育むように、魚座の根本には他人に尽くそうとする性質があります。
社会的には、先頭に立つリーダーよりも補佐役を好み、受身で行動する傾向があります。
その一方で、他人から見ると本性が見えにくいところがあるのも事実です。
ロマンチストではあるのですが、周囲にはあなたの内面にある夢のカタチが見えづらいことがあります。
よって、他人にとってはつかみどころがないともいえるのです。
魚座の総合運
社会的にあなたの存在が認められ、その魅力を発揮しやすい運気となります。
魚座ならではの奉仕の精神で人と接していけば、自ずと周囲はあなたをたたえ、頼りにするようになるでしょう。
もっとも魚座はリーダーシップを取るタイプの星座ではないため、人に頼られることが返って重荷になってしまうこともあります。
無理をして集団を引っ張ろうとするよりも、他の人を立てつつ、全体の幸せを目指すのが良策でしょう。
対人関係が盛んになる時期ですが、コミュニケーションの面で苦労があるかもしれません。
それでも、魚座が内面に秘める豊かな精神性を理解してくれる人は、きっとあらわれます。
魚座の恋愛運
魚座の恋愛は、相手への順応が基本となります。
魚が水になじんでいくように、相手の価値観やペースにうまくフィットできるかが、恋愛の成否を決めます。
よって相手の恋愛観やスタンスが、きわめて重要となってきます。
すでにパートナーのいる人は、あなたの人に尽くす性質が相手とかみ合うことで、より関係が深まる期待大です。
相性や感性がフィットする相手であれば、末永く付き合っていくための土台固めの年になりそうです。
現在フリーの人も、周囲にあなたのよさが伝わりやすくなっているので、いい出会いに恵まれることでしょう。
ただし魚座は自己表現には長けておらず、異性から見てつかみどころのない人に見られることもあります。
不器用でもいいので、必要な場面では自分の意思を丁寧に示すことが、恋愛成就のカギとなります。
好きな相手には、好意が伝わるようにすべきです。
魚座の仕事運
出典:pixabay
仕事運は最高といってもいいでしょう。
『魚座』は本来リーダーシップを取るタイプではありませんが、その控えめなところが返って評価されることがあります。
組織の中の対立を避けるために、調整型のリーダーとして頼りにされるかもしれません。
この場合は、無理に自分が周囲を引っ張ろうとするのではなく、有力な人物を立てながら、全体をまとめていくよう心がけましょう。
2019年は、仕事に関してひと皮むけるのに最適な時期です。
現在の職場でステップアップを目指すのもいいですし、転職を視野に入れる場合も未来が大きく開けてきます。
魚座の開運術
魚座は内面の豊かさに比べると、対外的なコミュニケーションは得意ではありません。
必要な局面では自分の意思をしっかり示すことも必要です。
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