毎年10月17日に行われる『神嘗祭(かんなめさい)』に合わせ、自宅で収穫祭を楽しんでみてはいかがでしょうか?
今回は、神嘗祭とは何か、自宅で収穫を楽しむための方法、そして、神様とご縁をつなぐ方法までご紹介します。
神嘗祭とは?
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神嘗祭は、毎年10月17日に伊勢神宮で行われている宮中行事です。
伊勢神宮のご祭神である太陽神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)に新穀を捧げ、今年も一年、恵みをいただいたことに感謝するのが神嘗祭というお祭り。
年間1500にわたると言われる伊勢神宮の祭祀は、神嘗祭のためにあるといってもいいほど重要なお祭りごとです。
一般に収穫祭として知られる「新嘗祭」はおよそひと月後の11月23日に行われますが、神嘗祭が天照大御神に向けて行われるのに対し、新嘗祭では天神地祇と呼ばれるすべての神様に祈りを捧げます。
自宅でも恵みをいただこう
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コロナ禍の始まった2020年頃から、危機意識の高まりや遊び場の不足が深刻化するにつれ、自然のなかに身を置きたいと考える人が増えました。
都市部こそがすべてであったこれまでから、田舎的な暮らしが見直され、貸し農園を契約する人も増えたといいます。
虫が嫌い、外で作業なんてできないと思う人も多いでしょうが、人は土と切り離しては生きていけないものです。
今日、私たちが口にするものの多くは、土から生み出されたものばかりではないでしょうか。
とはいえ、忙しい毎日のなか、これ以上負担が増えるのはイヤ!という人が多いのも事実です。
そこで今回は、自宅で簡単に、短期間で育てられる植物を栽培し、神嘗祭に合わせて収穫の喜びを実感する方法をご紹介します。
自宅で収穫祭を楽しむ方法
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それでは、自宅でも収穫祭を楽しむ方法をご紹介しましょう。
今回は土を使わず、家の中で栽培できるお野菜のみを集めました。
豆苗
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まずは、リボベジ(リボーンベジタブル、日本語に訳すと「再生野菜」)の代表格でもある豆苗です。
スーパーで売られている豆苗を買ってきて、豆の部分から数センチを残してザクリと切り、一度目の収穫をしたら、タッパーやお皿に置き、水に浸けておきます。
生け花と同じように、毎日お水替えをしていれば、新たな豆苗がニョキニョキと伸びて、1週間から10日で再収穫を楽しめます。
うまく育てるコツは、水かさをあまり高くしないこと。豆の部分が浸かるとカビが出やすくなってしまいます。
コスパも高く手軽な豆苗は、初心者向けのお野菜です。
ネギ
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豆苗同様、ネギも根から数センチ残して水に差しておくと再生することを知っていましたか?
できれば売っているネギを買うときに、根っこが長めに残っているものを選ぶといいでしょう。
成長の早いネギは、1日で5ミリ~1センチ以上も伸びると言われ、数日観察していればすぐに大きくなったことに気付きます。
豆苗は買った1回目と再生した2回目くらいが収穫の限度にあるのに比べ、ネギは何度か収穫できる可能性があります。
地植えで栽培していれば何度でも獲れる!なんて言われるほどですが、水で再生させるとだんだん根がふやけてしまうので、数回が限度でしょう。
気付けばネギを買う頻度が減ったかも?と思う人も多いかもしれません。
こちらも水替えのみで育ちますので、忙しい方にもオススメです。
残す根の長さにもよりますが、1週間~10日で収穫しはじめられます。
スプラウト
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ぜひタネから育ててほしいのがスプラウトです。
お皿やタッパー容器に、水を含ませたキッチンペーパーやコットンを敷きます。
その上に種を蒔き、暗所に置きましょう。
種蒔きのコツは、タネが重ならないようにすること。
キッチンペーパーが乾くようであれば、そっと水を足します。霧吹きがあればそれがいいでしょう。
発芽後は明るい場所に置き、水替えをします。
スプラウト栽培は土が必要ないため、家を汚したくない人でもタネから手軽に自宅で栽培を楽しむことができます。
1~2週間経ち、茎が5~6センチになれば収穫しましょう。
リボベジと違い、タネを買うというコストはありますが、より新鮮な収穫を味わいたい方にはオススメです。
タネは命の源。生命の神秘を感じられるスプラウト栽培にぜひ挑戦してみてください。
収穫物はまず、神様に
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神嘗祭に収穫したお野菜はまず、神様に召しあがっていただきましょう。
家に神棚がある方や、神札をお祀りしているという方は、捧げものとしてお供えしてください。
神棚も神札もないという方は、神棚に見立てた場所に、白い紙を置いてお供えしてもいいでしょう。
手を合わせ、恵みをくださった天照大御神に感謝の祈りを捧げます。
その後、収穫物を取り下げ、実際に恵みをいただきましょう。
神人共食の「直会(なおらい)」
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神社で祭祀があるときにも、お米やお酒、お水など、さまざまなお供えが準備されます。
祝詞を唱え、神様に祈りを捧げる荘厳な祭祀のあとには「直会」といって、お供えを「お下がり」としていただく風習があります。
これは「神人共食」、つまり神様と同じものを食べることで、神様とのご縁をつなぐ、つながりを強固にする意味合いがあると考えられています。
お正月などによく見る祝い箸は、両端が丸くなっていますが、これも片方で人間が食べ、もう一方は神様が召しあがるためのものです。
いつもは収穫をただ、人間がいただくばかりですが、神嘗祭のこの日は、神様とともに恵みを味わうことで、より一層、ありがたさが増すのではないでしょうか。
神様とのご縁がつながれば、次の一年も健やかに過ごせそうですね。
まとめ
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1週間から10日で収穫を楽しめるリボベジやスプラウト栽培で、神嘗祭に合わせての収穫祭を自宅で楽しむ方法をご紹介しました。
私たちは、食べたものでできています。
日頃、あまり意識しないことかもしれませんが、食べものは自然が与えてくれるということ、自然を司っているのは神様であるということを、神嘗祭の日に、意識してみてはいかがでしょうか。
視点が変われば、見える世界が変わる。そんなきっかけになれば幸いです。