毎年のこととはいえ、お盆の習慣がない人にとっては、お盆とは結局どういう行事なのかよくわからないものかもしれません。
ここでは、『お盆』とはなにか、お盆の迎え方と送り方、盆踊りはなぜ踊るのか、また、お盆期間中にやるべきことと、避けたいことをまとめました。
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お盆って?
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「お盆」とは「盂蘭盆(うらぼん)」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という行事を略した言葉で、地域差はありますが、8月13日~16日に行われる地域が多いようです。
東京や関東地域には、旧暦の8月13~16日をそのまま新暦の日に替え、7月13~16日に行うところもあります。
宗派により考え方の違いはありますが、おおむね、お盆という期間には、先祖の霊をこの世に迎え、ともに時間を過ごしたのちに送り出すことで、供養する行事と考えられています。
地獄の釜の蓋が開く?
さまざまあるうちの一説ですが、死者はいつでもこの世とあの世を行き来できるという考えもあります。
その説では、凶悪な死者はお盆の期間に地獄の蓋が開いたときにしかこの世へ来られないとしています。
そのため、お盆に海に行くと足を引かれる、といった迷信めいたことも言われます。
あの世のことですから本当のことはわかりませんが、お盆にはこのように、いろいろな逸話があることも事実です。
なんとなくネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれません。
迎え方・送り方
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せっかくならきちんとお盆をしてみたいという人は、以下の3つのことを実践しましょう。
①精霊馬(しょうりょううま)
②お供え
③迎え火・送り火
①精霊馬
ナスやキュウリに割り箸などを刺したものを、精霊馬と言います。
キュウリは足の速い馬とされ、ご先祖様が少しでも早く家に戻ってこられるようにする乗り物を模しています。
ナスは牛に見立てられ、足が遅く、荷物をたくさん積めるということから、お土産をいっぱい持って、ゆっくりとお帰りいただくための乗り物です。
迎え盆にはキュウリを、送り盆にはナスをお供えするのでも、お盆期間中つねに両方をお供えするのでもかまいません。
しかし、あまり早く作ってしまうと腐ってしまう恐れもあるので、8月13日の午前中に作ってお供えするのがベターでしょう。
②お供え
お供えの基本は五供(ごくう)と呼ばれ、「香・花・燭・飯・水」を指します。
「香」はお線香です。故人は香りを召しあがると言われます。お線香のあげ方は宗派により異なります。
「花」は仏花でもいいですが、とくに故人が好んでいた花や季節の花があれば、それを供えても喜ばれるかもしれません。
「燭」はろうそくのこと、「飯」は炊きたてのご飯のことです。
最後の「水」に関しては、宗派によっては供えないほうがよいということですので、確認してからにしましょう。
③迎え火・送り火
迎え火・送り火については、家の門口や玄関、お墓などで、オガラを焙烙の上で折って燃やす行事が一般的です。
迎え火は先祖霊がやってくるときの目印となり、送り火は無事にあの世へと帰っていくときの祈りとなります。
灯籠流しや、京都で行われている五山の送り火も同じ意味合いをもった行事です。
火を扱うことが難しい場合には、提灯で代用することもあります。
どの方法であっても、故人を迎え、そして無事を祈るという気持ちを込めることが重要です。
盆踊りはなぜ踊る?
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盆踊りの起源は、平安時代に空也上人の行った踊り念仏と言われています。
8月15日、この世で過ごす最後の夜にできる限りのもてなしをするため、夜通し踊りつづけていたそうです。
その後、一遍上人によって全国に広まり、室町時代はじめ頃には現在の形に近づいていきました。
また、盆踊りには豊作祈願や、出会いの場といった側面もあります。
民俗学的には、先祖霊と農作の神をある程度、同一視する向きもあり、先祖の神様に祈ると同時に、自然の神様にも祈りを捧げてきた慣習があるのでしょう。
2020年はコロナ禍でのお盆となるため、盆踊りの開催ができない地域も多いかもしれませんが、参加する方は、先祖霊へのもてなしや豊作を祈る気持ちで踊ってみると、新しい気づきがありそうですね。
お盆期間中にやるべきこと・避けたいこと
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お盆期間中にぜひやってほしいことは、家族との時間を大切にすることです。
ご先祖様は、自分たちを思ってくれることも嬉しいですが、今、生きている家族たちが仲良く楽しく過ごしていることをとても喜ばれます。
田舎に帰省したり、電話などで声を聞く時間を取ってみてはいかがでしょうか。
また、自分のルーツに思いをめぐらせたり、先祖たちのことを親や親戚に聞いてみたりすることはとてもよい供養になるだけでなく、地に足をつけて生きることにもつながります。
一方、お盆期間中に避けたいことは、他人を巻きこんだレジャーやお祝いごとです。
これは、一緒にいる人の先祖霊の供養を邪魔してしまうことになりますので、できれば避けたほうがいいでしょう。
従来は、「水辺に近づくこと」「生きものを殺すこと」「お祝いごと」の3つは忌避されてきましたが、現代ではそこまで厳重に注意するものはないのではと思われます。気になるようであれば避けたほうがいいでしょう。
まとめ
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『お盆』は、多くの地域では8月13日に迎え火、8月16日に送り火の行事をもって、先祖霊の供養をする行事です。
これまでお盆をきちんとしたことがないという人は、2020年のお盆は、精霊馬・お供え・迎え火・送り火などをして、ご先祖様への感謝と供養の気持ちを新たにする期間としてみてはいかがでしょうか。
見えざる者への感謝を忘れなければ、きっとご先祖様たちが、今を生きる人々とともに、素晴らしい未来を創る手助けをしてくれます。