ついに群雄として頭角を現す
公孫瓚のもとを離れた劉備は、徐州(注)という地域の要請を受け、手勢を率いて援軍に行きました。すると徐州のトップに人物を大いに見込まれ、なんと後継者になるよう依頼されたのです。
当時の中国(後漢王朝)は、全土を13の州に分割して統治していました。
そのひとつのトップに立つことになったのですから、旗揚げ以来の迷走がウソのような、大出世をしたことになります。
(注)徐州……現在の山東省南東部と、江蘇省の長江以北にまたがる地域。
「へぇ、劉備ってずいぶんと運が良いんだね」
こうお感じになった方もいらっしゃるでしょう。
たしかに運が良かったのも事実でしょうが、そこで話を終わらせては、劉備を正しく評価したことになりません。いくつかのポイントを見ていく必要があります。
まず当時の徐州は(後に劉備のライバルとなる)曹操の軍事的圧力に脅かされていました。
よって、新しいトップにはそれなりの軍事的なキャリアが必要でしたが、なかなかふさわしい人物はいません。
そんなところへ、劉備が豪傑たちを引き連れて援軍にやってきたわけです。
さほど華々しい活躍はないものの、強い男たちを従え戦場を渡り歩いてきた実績は、徐州の人々にとって頼もしく映ったことでしょう。
劉備が徐州のトップとして認められたのは、まず彼の軍事的キャリアが背景にあったのだと考えられます。
さらには、劉備の人をひきつける人間性も、徐州での出世を後押ししたと思われます。
彼はどんな相手に対しても謙虚に接し、感情をむやみに表に出すことなく、強い男たちに慕われる人物だったといわれています。
謙虚でおだやかなうえ、人をひきつける魅力があったからこそ、彼は新しくやってきた地でトップに推戴されたのでしょう。
事実、徐州から見れば「よそ者」の劉備がトップに立ったにもかかわらず、それに反対する勢力はあまりいなかったようなのです。
これは彼が性格的に敵を作らないのはもちろん、未知の人たちをひきつけるだけの魅力があったということでしょう。
劉備が新天地・徐州で争わずしてトップに立てたのは、その軍事的キャリアと人間力がモノをいったのです。
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因縁の武将・呂布(りょふ)との出会い
旗揚げ以来、うだつのあがらなかった劉備ですが、ようやく徐州という根拠地を得て、群雄の仲間入りを果たしました。
ではここから先は順調に行くのかというと、なかなかそうも行かないのが劉備の人生なのです。
劉備が徐州のトップに立ったころ、その西方では他の群雄たちの激しい争いが続いていました。
ひとりは後に柳びのライバルとなる曹操。
もうひとりは「裏切りの武将」と呼ばれる呂布という男でした。
両者はいずれも戦が強い武将であり、その戦いは熾烈を極めましたが、激戦の末に曹操が勝ち、呂布は追い出されてしまいます。
この呂布という男の動向が、劉備の前途にも大きく影を落とすことになります。
この呂布という武将について、少し解説しておきましょう。
彼は三国志の世界で抜群に戦が強い武将であり、他の群雄たちからも一目置かれる存在でした。
そんな呂布が、なぜ「裏切りの武将」と呼ばれていたのか?
言うまでもなく、それまで仕えた主人を何度も何度も裏切ってきたからです。
劉備の人生とは直接に関係がないので説明を省きますが、呂布は後漢末の武将として随一の強さを誇るものの、自身のたび重なる裏切りによって信頼を失い、だれにも受け入れてもらうことができず、世の中に行き場をなくしてしまっていたのです(どんなに強いとはいえ、いつ裏切るか分からない武将など、群雄たちも怖くて雇えないですよね)。
そこで困り果てた呂布は、他人の領地を乗っ取って、自分の勢力を打ち立てようとしました。
こうしてターゲットにしたのが、曹操だったのです。
呂布は曹操が留守になったスキをねらい、その領土に攻め込みます。
しかし三国志の英雄・曹操は、そう簡単に領土を明け渡す男ではありませんでした。
一時は呂布が有利に戦いを進めるものの、曹操の反撃にあい、ついには敗れ去ってしまいます。
最強の武将・呂布は、またしても行き場をなくしてしまったのです。
呂布という狼―――太陽・正位置
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曹操に敗れ、行き場を失った呂布は、東の徐州にいた劉備を頼ってきました。
「どうか自分を受け入れて欲しい。自分は戦に強く、必ず役に立つ」というのです。
これは劉備にとって究極の選択でした。
たしかに呂布は天下に並ぶものなき武勇を誇り、味方にできれば大きな戦力となるのは間違いありません。
とはいえ、これまで仕えた主人をことごとく裏切ってきた男でもあります。
強い武将だからこそ、裏切れば逆に厄介なのです。
下手をすれば領地を乗っ取られるか、最悪の場合は殺されてしまいかねません(事実、ここまで呂布は使えた二人の主人を、ことごとく殺していました)。
究極の選択を突きつけてきた呂布は、劉備にとっていかなる存在だったのか?
タロットに尋ねたところ……太陽の正位置が導かれました。
成功、誕生、祝福、エネルギーなどが暗示されています。
なんとも不思議なことです。
いまからお話しする劉備と呂布の因縁を考えれば、このカードが導かれるとは思えないからです。
しかし……思わぬカードが、物事の真実を指し示すところも、タロットの奥深さといえます。
劉備と呂布の因縁、そして太陽の正位置の読み解き方については、次回で詳しくお話ししたいと思います。
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