劉備の旗揚げ―――月・正位置
それでは、劉備の旗揚げについてもタロットに尋ねてみましょう。
カードを切ったところ「月」の正位置が導かれました。
闇、疑惑、不安定、裏切り……といった内容の象徴です。
若き日の劉備に、またしてもネガティヴな暗示が出たことになります。
事実、旗揚げ以降の劉備の歩みは、順調とは言いがたいものでした。
黄巾の乱で多少の手柄を立てた劉備は、地方の小役人の地位を与えられます。
ところがあるとき、劉備の仕事ぶりを見に来た上級役人とトラブルになりました。
劉備はこの相手を縄でしばり、杖でめった打ちにして、役人の地位を捨てて去っていったといいます。
なんともすごいエピソードというか、ある意味で劉備の大物ぶりを感じさせられますね。
もっとも、「人徳あふれる君子」という劉備の一般的イメージとは、ずいぶんへだたりがある行為ともいえます。
いずれにせよ、せっかく手にした役人の地位をこんな形で捨ててしまうのですから、旗揚げ期の劉備が上手くいくはずもありません。
これではライバルの曹操たちに差をつけられてしまうのも、無理もないところでしょう。
こうして各地を転々とすることになった劉備。
まさに彼の旗揚げ期は、「月」の正位置が示す「闇」のような時代だったのでしょう。
ライバルたちと比べ、財産でも地盤でも負けている劉備が、英雄としての未来を暗中模索する……そんな時期だったと考えられます。
後に自分の国を創り、皇帝にまでなる劉備ですから、地方の小役人におさまるような器ではなかった……とも言えるのでしょう。
出典(TOP画像):photoAC
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公孫瓚との共闘―――法王・逆位置
こうして、役人生活で上手くいかなかった劉備は、ある旧知の男を頼ります。
その相手こそ、有力な群雄のひとりである公孫瓚(こうそんさん)でした。
公孫瓚は劉備の留学時代の学友でしたが、この頃には中国の最北部で勢力を拡大し、群雄として頭角をあらわしていました。
この頼もしい学友のもとに身を寄せて、劉備は乱世での飛躍を目指したのです。
そこで戦功をたてた劉備は、公孫瓚の推薦により、以前よりは上位の役人になることもできました。
劉備にとって、この公孫瓚がどのような存在だったのか、タロットで観てみましょう。
カードを切ったところ……「法王」の逆位置が導かれました。
停滞、束縛、守旧性あるいは不徳を暗示しています。
またしても劉備にとってネガティヴな暗示が出ましたが、ちょっと変な気もしますね。
なにしろ公孫瓚は劉備を引き立ててくれた人物なのですから……。
この暗示をどう読み解くべきか?
ポイントは、劉備はあくまで英雄であり、タロットにも英雄としての運気が示されるという点です。
劉備は並の人間ではなく、後に自分の国を建てるほどの大人物です。
よって公孫瓚の下にいるうちは、いかに厚遇されていたとしても、英雄としての運命は停滞していたといわざるを得ないのです。
さらに法王の逆位置は、公孫瓚という人物の守旧性をも示しています。
すぐれた武勇で頭角を現した公孫瓚でしたが、意外にもその考え方には守りに入りすぎるところがあり、そのために身を滅ぼしたともいえるのです。
公孫瓚は強敵に攻め込まれたとき、城にこもって守備的に戦いました。
そんな中で次第に人間不信に陥ったのでしょうか、彼は武将たちを遠ざけるようになり、美女に囲まれて暮らすようになったといいます。
これでは部下たちの信頼を得ることはできません。
さらに公孫瓚は、別の城が敵に襲われても、助けに行くことをしませんでした。
あくまで自分の本拠地(本城)を守ることを優先したわけですが、これによっていよいよ部下たちの心が離れてしまったと言います。
このように武将たちの支持を失った公孫瓚は、自慢の城もついに落とされてしまい、一族もろとも滅んでしまいました。
劉備が公孫瓚のもとに留まっていたら、おそらくは巻き添えを食っていたでしょうし、下手をすれば命を落としていた可能性もあります。
公孫瓚のもとを離れることが、劉備にとって吉だったと言えるでしょう。
法王の逆位置は、公孫瓚自身の守旧性はもちろん、公孫瓚のもとにいては劉備が飛躍できないことをも暗示していたのです。
趙雲(ちょううん)との出会い
出典:ashinari.com
思うに大業を成し遂げる英雄とは、回り道をしている間にも、宝物を手にしていくものだと思います。
そして劉備は、公孫瓚のところへ運命の寄り道をしている間に、かけがえのない人物と出会っているのです。
その人物こそが、趙雲その人でした。
もともとは公孫瓚の武将でしたが、劉備の人物にひかれるところがあったのか、劉備に仕えることになったのです。
趙雲は劉備軍において、関羽・張飛と並び称される勇将であり、劉備の危機を何度も救いました。
後に劉備が曹操の軍に攻撃されたとき、趙雲は乱戦の中、劉備の家族を保護したことは有名です。
命を賭けて主君に尽くす姿が人々の心をとらえ、趙雲は今もなお、中国で人々に慕われ続けています。
このように、強い武将たちを次々に味方につけていく劉備。
ライバルの曹操にはかなり遅れをとってはいますが、ここから乱世の表舞台で飛躍していきます。
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