奈良時代から続く七難即滅の儀式「強飯式」【4月2日】

奈良時代から続く七難即滅の儀式「強飯式」【4月2日】

『強飯式(ごうはんしき)』という儀式を知っていますか。

今回は、開運のご利益があるとされる強飯式についてまとめました。

強飯式とはどのような儀式なのか、その儀式の内容とともに、七難・七福についても紹介しています。

強飯式とは

奈良時代から続く七難即滅の儀式「強飯式」【4月2日】

出典:photoAC

強飯式は、栃木県にある日光山輪王寺というお寺で行われる儀式のことです。

日光山は勝道上人(しょうどうしょうにん)という高僧により奈良時代の766年に開山されました。

この儀式は神仏習合の考えのもと、山伏たちが修行場のご本尊にお供えをした供物を里の人々にお分けしたところから始まりました。

江戸時代頃には、日光三所権現本地仏に数えられる千手観音・阿弥陀如来・馬頭観音や、開運三天と呼ばれる大黒天・弁財天・毘沙門天からお供物をいただくという形に変遷し、現在はその形式を引き継いでいます。

山伏に扮した僧侶が、頂戴人に山盛りのご飯を「食え食え」と強いる儀式が一番の見所となっており、この儀式を頂戴することで、七難即滅(しちなんそくめつ)・七福即生(しちふくそくしょう)し、運が開けると言われています。

毎年4月2日の午前11時と午後2時の二回行われていますが、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で一般の参列は中止となりました。

しかし、ご祈祷したお札をいただくことはできるということですので、開運のお札が欲しい、強飯式に少しでも携わりたいと思う方はぜひ輪王寺参りを検討してください。

参詣時は新しい生活様式を守って

コロナウイルス感染症の影響を受け、私たちの生活様式は様変わりしてしまいました。

人と人との繋がりを保つのが難しい新生活となり、不便を強いられている方も多いかと思います。

強飯式も、本来であれば多くの参列者に見守られて行われるものでしたが、現在の状況を鑑みて中止を決定したことと思われますので、事前の問い合わせやソーシャルディスタンス、アルコール消毒や検温など、他人を慮る行動を取りながらの参詣をお願いします。

3部から成る強飯式

奈良時代から続く七難即滅の儀式「強飯式」【4月2日】

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強飯式は、以下の3つの部から成っています。

①三天合行供・採灯大護摩供
②強飯頂戴の儀
③縁喜がらまき

それぞれの部で行われる内容について、以下で詳しく見ていきましょう。

①三天合行供(さんてんごうぎょうく)・採灯大護摩供(さいとうだいごまく)

僧侶・山伏・頂戴人、合わせておよそ20名が行列をなし、三仏堂と呼ばれる本堂に入ります。

扉が閉まり、一本のろうそくが灯るのみとなった薄暗がりの堂内を静寂が支配します。

雅楽の演奏と「三天合行供」の読経の中、日光山の秘法である採灯大護摩供の護摩焚きの炎があがります。

②強飯頂戴の儀

いよいよメインの、「食え食え」とご飯を強いる儀式です。

まずはじめに、大きな朱塗りの盃に御神酒が注がれます。

一杯三升のご飯が盛られた大椀が運ばれ、祈願文の儀と呼ばれる儀式が終わると、山伏に扮した僧侶たちは頂戴人の頭に大腕を乗せ、「頭が高い」「三社権現より賜る御供」「一杯二杯にあらず、七十五杯頂戴しろ」などと独特の口上での責めが始まります。

この「食え食え」の責めは、「日光責め」と名が付いており、有名なものです。

その後、強飯についての由来などのお話があり、日光の名物珍味を盛った菜膳が添えられます。

最後には毘沙門天の兜を頂戴人の頭に授け、山伏が「こりゃこりゃ」「めでとう七十五杯」などのかけ声とともに、縁起物を頂戴人に授けて、強飯頂戴の儀は終了となります。

③縁喜(えんぎ)がらまき

頂戴人たちは、お供物を里の人に分けたのと同様、いただいた福をお分けします。

一般参列の人々は、この縁起物の類いをお分かちいただくことができます。

具体的には、お菓子や玩具、お札や宝槌、福杓子といった縁起物がばらまかれるようです。

2021年はどのような形で行われるかわかりませんので、事前に輪王寺に問い合わせするといいでしょう。

七難と七福

奈良時代から続く七難即滅の儀式「強飯式」【4月2日】

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強飯式の儀式に参加したり、お札をお分かちいただくことで、七難即滅・七福即生といったご利益が得られると先述しました。

ところで、七難・七福とはどのようなものでしょうか。

七難

仏教には様々な宗派があり、七難についての解釈は宗派により異なります。

今回はその中の一つの解釈をご紹介します。

・火難(火による災害や、復習・嫉妬)
・水難(水による災害や、酒や賭博などに溺れること)
・風難(風による災害や、物事を見失うこと)
・剣難(刀や鉄砲などによる災難や、心を傷つけること)
・鬼難(死霊による災難や、ハラスメント)
・獄難(自由を奪うこと)
・賊難(体や心、時間、平和などを奪うこと)

これらの七難に遭うことを滅すると同時に、自分がこれらの難を起こす張本人になってしまうことを避けるためにも、七難即滅は必要でしょう。

七福

七福についても様々な解釈がありますが、ここでは七福とは、七難即滅を逆説的に言った言葉、と紹介します。

上記のような七難が去ることは、逆に言えば七つの福が訪れることです。

七難即滅と七福即生は、表裏一体となった縁起の良い言葉として覚えておくといいかもしれませんね。

まとめ

奈良時代から続く七難即滅の儀式「強飯式」【4月2日】

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栃木県にある日光山輪王寺では、毎年4月2日に強飯式という儀式が行われています。

この儀式に参加することで、七難即滅・七福即生のご利益が得られ、運が開けると言われています。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、公私ともに不安定になったという方も多い今こそ、神仏のご利益にあやかり、心の安定を取り戻す一助としてみてはいかがでしょうか。