「社日」とは、日本人なら知っていて損はない、土や土地、食に関わる日です。
ここでは、春の社日についての概要や2021年の日程、春の社日に神様とのご縁をつなぐ3つの過ごし方、春の社日の禁忌についてまとめました。
春の社日とは?2021年の日程
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社日の「社」は、土の神様や、生まれた土地の神様である産土神(うぶすながみ)のことを意味しています。
社日には「春の社日(春社)」と「秋の社日(秋社)」があります。
それぞれ、原則的には春分の日と秋分の日に最も近い戊(つちのえ)の日と定められており、2021年の春の社日は、春分の日の翌日、3月21日となります。
春の社日は種まきの時期と近いことから、一年の豊穣の祈りを込めてお祭りをし、秋の社日には収穫時期に近いことから、一年の実りの感謝を表すお祭りをします。
あまり知られていない雑節の一つですが、「食べる」ということは、時代が変わっても変わることのない、人間の暮らしの柱です。
土は食と密接に関わっていますし、生まれた土地の神様とは、生まれたときからのご縁があります。
日頃、口にしているものがどこからやってきたのか、自分がどこで生まれ、どのような土地に育てられたのか、といったことを考えないという人も、春の社日を機会に、ぜひ「土」や「食」を通して、自分の生きてきた道を思う時間を取ってみてはいかがでしょうか。
春の社日に、神様とのご縁をつなぐ3つの過ごし方
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農業とは関わりのない生活をしている人々にとって、社日は縁遠いものかもしれません。
そこで、社日にはどのような過ごし方をすると良いか、以下の3つに分けて紹介します。
①産土神様にお参りする
②五穀をいただく
③五穀に触れる
一つひとつは決してむずかしいことではありませんが、日頃、その習慣がない人にとっては、意識して行動する必要のあることばかりでしょう。
窮屈に考えず、できる範囲で楽しみながらやると、神様もお喜びになると思います。
①産土神様にお参りする
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今でも地元に住んでいるという人がすぐに実行しやすいのが、産土神様を参詣することです。
産土神様は、産まれた土地にある神社や、産まれてから初めてお参りした神社にお祀りされている神様のことをいいます。
この神様は、その人を生涯にわたり見守ってくださるので、初宮参りや七五三のように、折に触れてご挨拶に行く習わしがあります。
自分の産土神様がわからないという人は、ご両親に尋ねるか、産まれた土地の神社を調べてみるといいかもしれません。
春の社日に合わせ、産土神様のお祀りされている神社へ詣でるのは神様とのご縁をつなぐわかりやすい方法です。
神主さんのいるような神社であれば、酒屋さんで「御神酒」の熨斗をつけてもらい、お酒の奉納をするのもいいでしょう。
また、地元を遠く離れてしまい、産土神様にお参りに行けないという人は、家に神棚をお飾りし、そこに産土神様のお札をお祀りすると、いつでも産土神様に礼拝することができます。
家に神棚があるという人は、春の社日にはお米やお酒、お餅、豆や麦など、穀物に由来する食べものをお供えし、祈りを捧げるといいでしょう。
②五穀をいただく
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出来合いの惣菜やファストフードで食事を済ませがちだという人は、春の社日には家で炊きたてのご飯を食べてみてはいかがでしょうか。
いつもお味噌汁はダシの素に頼りきりと感じているなら、ダシを取って丁寧にお味噌汁を作るというのもいいでしょう。
人間は食べたものでできています。
それは、どんなにIT化、情報化が進んでも、人間が生身の生きものである限り、変わりません。
自分が今食べているものは何なのか、しっかりと噛みしめる時間を取ってみてください。
親が作ってくれていた料理の中から好きだったもののレシピを聞いて、再現してみるのもいいかもしれませんね。
また、春の社日にお供えをしたり、いただいたお酒は「治聾酒(じろうしゅ)」といい、聞こえがよくなるという言い伝えがあります。
③五穀に触れる
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春の社日には、お餅をつく、味噌を仕込む、甘酒を作るなど、五穀に触れる体験をすることも、神様とのご縁をつなぐ方法の一つです。
近年の発酵ブームで、手前味噌作りなどが流行しています。
お味噌は大豆と米や麦からできる麹、そして塩を使って作りますが、意外にも簡単に自宅で仕込むことができます。
自炊に抵抗がない方や、子どもに食育がしたいと考えている方は、いつもより一歩、踏み込んだ、五穀との触れあいを試みてはいかがでしょうか。
作物は農家さんと神様が、丹精込めて育てたものばかりです。
そのことに、五穀との触れあいを通して気づかれることと思います。
春の社日の禁忌
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社日は春と秋、年に二回あり、農耕行事と深く関わりがあります。
そのため、地域によってはこの神様を農耕の神様とし、春に山から下りてきて農耕を見守ってくださり、秋になると人々に実りをもたらして山へ昇られると考えるところもあります。
春の社日は神様がお出でになる大事なお迎えの神事の日。
この日は農耕に関わる仕事は禁忌とされています。
ガーデニングや家庭菜園をされているなら、春の社日は土いじりを一旦お休みにして、土の神様に対する崇敬の念を持ってお祈りをするようにしてください。
まとめ
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2021年の春の社日は3月21日です。
この日は産土神様にお参りをしたり、五穀をいただく、五穀に触れる体験をされると、土の神様、土地の神様、産土神様、農耕の神様などとご縁をつなぐことができます。
ついおそろかになりがちな食についても考える一日になるといいですね。
農耕の神様が山から下りてこられる春の社日。
これから、春爛漫、作物の種が蒔かれ、野の花が咲き誇る、美しい季節が始まります。